脱ステ体験をした方を紹介したTV番組が放映されたこともあってか、ステロイドや薬を使う派VS極力薬の類を使いたくない脱ステ派の論争が再熱しているようです。
みなさまは、どちらの意見ですか?
私はどちらかというと後者ですが、当院では病院の受診はむしろ積極的に勧めています。
長くなることが多いアトピーとの戦いにおいて、自分を理解しサポートしてくれる人、特に専門家は多ければ多いほど良い、と考えているからです。
ところが、実際は自己判断で通院を中止し、皮膚科にかからずに自己流で脱ステロイドをする、という方がとても多いのが実情かと思っています。
医師以外の療法家が皮膚科の受診を患者に止めているケースもありますが、患者には患者なりの理由があるのです。
なぜ皮膚科を受診したくないのか?
「脱ステロイド」という治療を選択したいとアトピー患者が思ったとき、それに対して理解のある皮膚科医を見つけるのは容易ではありません。
現在のアトピー性皮膚炎の治療の主流が、ステロイドなどの薬を使って症状をコントロールするプロアクティブ療法だからです。
脱ステロイドのプロセスを見守れる皮膚科医を見つけるとなると、さらに困難を極めます。
アトピーの標準治療を行う一般的な皮膚科では、患者が「ステロイドを止めたい」「薬を使いたくない」と口にしただけで、「治療放棄」と見なされ、叱責されることが非常に多いからです。
受診を拒否されることもあり、自分が通える皮膚科で定期的に診察を受けながら脱ステロイドを行おうと思うと、非常に高度なコミュニケーション能力が患者側に要求されます。
そこで医師とのやり取りの中で自分が消耗するエネルギーと、心が受けるダメージを考慮したとき、「脱ステロイド」をするときは皮膚科医に相談しない、という選択になってしまうのです。
皮膚科医だって「アトピーを治したい」
皮膚科医の先生方の言い分の理解できるのです。
アトピー性皮膚炎の標準治療は、皮膚のバリア機能を補う治療(保湿)と、炎症を抑える治療(抗炎症療法)で、保湿剤を使った外用療法と、免疫抑制剤や光線療法を使った全身療法などです。
それ以外の療法については、実際のところ皮膚科医は専門外ではありませんか?
「その症状を出ないようにする」ことが、アトピーの治療のすべてだと考えておられる先生も多いでしょう。
また多くの患者が、それを求めていることでしょう。
標準治療を行う皮膚科医の先生方も「アトピーを治したい」という目的のために治療を行われています。
良かれと思い、最善と考えられる治療を提案してくださっているのです。
にもかかわらず、医師の言うことを聞かずに独断で脱ステをし、脱ステのリバウンドに耐え切れず、ステロイドを出してくれ、と駆け込んでくる患者は後を絶ちません。
ごく常識的なことを曲解したり、一人合点したりしてアトピーをこじらせ、医師の目からすれば「勝手なことをする」患者に対して、叱責をしたくなるのも当然かもしれません。
自己流は危険。
脱ステロイドは、ステロイドをぬらなければいい、と一言で片づけられるほど簡単で単純なものではありません。
おそらくそれは、このホームページにたどり着いた方は既にご存知のことでしょう。
ですから自己流で脱ステロイドを行うことは、当院ではお勧めしていません。
脱ステロイドをする過程では、ステロイド離脱症候群(俗にいうリバウンド)という現象だけでなく、感染症など命の危険にさらされることがあります。
本来なら脱ステロイドは、医師の管理のもとに安全に行えることが望ましいのです。
ですから、もしあなたがご自分のアトピーを体全体の問題として捉え、一般的な標準治療を行う皮膚科で受けられる治療とは異なる治療を選びたいと考えておられるなら、何かあったときに相談できる主治医が必要です。
ぜひ普段から主治医と関係を築いておき、気になる点や疑問に対して気軽に質問できる環境を整えておきましょう。
脱ステロイドに理解のある皮膚科医が望ましいのですが、もし見つからなければ、内科医でも構わない、というのが私の個人的な考えです。
当院に通院されている10数年前にステロイド皮膚症と診断されたある患者さまは、長年内科の先生に皮膚も診てもらっているそうですし、私自身もアトピーが大爆発したときは、以前勤務していた内科の先生に診ていただいていました。
アトピー治療におけるあらゆるリスクを回避する上で、医師ほど頼れる存在はありません。
当院では以下の先生方をご紹介させていただくことが多いです。
『淀川キリスト教病院』中村敬先生(大阪市東淀川区)
『尼崎医療生協病院』玉置昭治先生(兵庫県尼崎市)
『阪南中央病院』佐藤健二先生(大阪府松原市)
『あみ皮膚科クリニック』山田貴博先生(大阪市西成区)
『佐藤小児科』佐藤美津子先生(大阪府堺市)
また、さまざまな療法の専門家もあなたの脱ステロイドをサポートしてくれるでしょう。
どうかひとりで抱え込まないでください。
専門家だけでなく、友達や家族、アトピー仲間、見知らぬ人でさえあなたの味方になってくれる人はたくさんいます。
アトピー完治への道のりは長くなることが多いです。
たとえ短くても、その道のりに困難がなかったとは誰も思っていないでしょう。
だから自分の周りにたくさんのサポーターを配置してください。
鍼灸治療を利用したいと思われたら、どうぞ当院にご相談ください。
あなたの当たり前の日常、健康で穏やかな普通の生活を取り戻すために、しっかりとサポートさせていただきますよ。
こちらの記事↓↓↓も参考になさってください。
なぜステロイドでは治らないのか【ステロイドとは何なのか?②】
【アトピーをよくするための10の基本事項】
⑨シーソーが揺れ動くのを楽しんでしまうくらいの気持ち(マインド)
鍼灸治療は、心と体の調和を目指します。
定期的に受けることで、心身の健康を保つために役立ちます。
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