なぜステロイドでは治らないのか【ステロイドとは何なのか?②】
現在の日本の皮膚科医が行う主なアトピー性皮膚炎に対する治療は、ステロイド軟こうを使って症状をコントロールする、というものがスタンダードです。
使い方を間違えると副作用が起こることが多いこと、ステロイド軟こうを使うことによって症状が一過性に軽減するため「治った」と勘違いしてしまうことも多く、根本的な原因に対して改善を試みない人が多いために、重症化・難治化する要因となっているように思います。
なぜステロイド軟こうで治らないのか、なぜ重症化・難治化するのか、考えてみましょう。
まずステロイド軟こうを長期間使用し続けると、ペラペラの薄い紙のように皮膚細胞が委縮してきます。
ステロイド軟こうは基本的にクリーム状で界面活性剤が含まれていますから、皮膚のバリアゾーンを支えている常在菌バランスが崩れてきます。
皮膚にも腸と同じように善玉菌と悪玉菌がいて、絶妙なバランスを保ちながら皮膚を保護する役割の皮脂膜の形成をサポートしているのです。
ところがステロイド軟こうの使用によって皮膚の常在菌バランスが崩れると、活性される細菌に反応して炎症が起きます。
炎症が起こっている皮膚の部位では毛細血管が拡張して赤みを帯びてきます。
炎症を静めるためにステロイドが体内で分泌、またはステロイド軟こうによって補充されると、さらに皮膚が委縮して薄くなり、皮膚が薄くなることによって弱まる「防御」という役割を果たすために、今度はゴワゴワの壊れにくい硬い皮膚を作ろうとします。
アトピーの炎症
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ステロイドをぬる
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皮膚が薄くなる(掻き壊す)
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ゴワゴワの皮膚が作られる(掻き壊す)
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ステロイドをぬる
ということが慢性的に繰り返されるようになります。
炎症が起きる、ということは、免疫が働いている、ということですが、ステロイド軟こうは炎症を静める薬ですから、免疫細胞の活性を抑制します。
さらに界面活性剤が含まれている軟膏の使用によって皮膚の常在菌バランスが崩れている状態では、カンジタなどの真菌感染、ニキビ、ヘルペスなどの感染症にかかりやすくなるのは当然のことかもしれません。
これが私が考えるステロイド軟こうの三大副作用「皮膚細胞の萎縮」「毛細血管の拡張」「真菌感染および感染症にかかりやすくなる」の機序です。
こういう機序があると考えているため、私はステロイド軟こうを一時しのぎの対処法の一つとして使うことについては否定はしませんが、長期間に及ぶ使用については否定的な考えを持っています。
ちなみに界面活性剤とは、簡単に言うと、水と油のように相反する特性のあるものが混ざった状態を保つ性質をもつもののことです。
界面活性剤を使うと、油分と水分を混ぜ、その状態を長時間維持させることができます。
だから化粧品や食品などにも多く使われていて、「食べれるくらいだから安全・安心」なんて説明がされることもあるようですが、「油と水を混ぜる」ということが皮膚の上で行われると何が起こるかというと、皮膚表面の油分を溶かして、内包している水分を蒸発しやすくしてしまうので、余計に乾燥肌になると考えています。
当院では鍼灸治療と合わせて、患者さまご自身が主体的に行うスキンケアを含めたセルフケアを大切にしています。
病気を治すのもアトピーをよくするのも、患者さまご自身。
鍼灸治療は自身が持つ自然治癒力を最大限に引き出し、アトピーをよくするスピードを加速させます。
「鍼灸治療を受けていたお陰でリバウンドも少なく自然に脱ステロイドできた」と多くの方が仰っていただいています。
どうぞお気軽にご相談ください。