鍼灸は肩こり・腰痛に効く、ぐらいの認識の方が多いようですが、
実は鍼灸の適応症は実に多様でさまざまです。
そこで当院で鍼療する機会のあった症例の中からいくつかご紹介します。
尚、ここでご紹介する症例の内容はすべて、
当院で実際に鍼療を行った内容であることを、ここに明記しておきます。
五十肩
主訴
五十肩
患者
男性 62歳
経過
平成21年11月初診
春頃から腕を上げると肩関節に痛みが走るようになる。
1ヶ月ほど整形外科にも通って電気治療などを受けたが改善せず、来院。
右よりも左肩関節の痛みが強い。
既往症
高血圧。痛風。
共に投薬治療を続けている。
治療
脾虚証として治療。主治穴は、太白・足三里など。反応の出ている経筋穴に置鍼。
背部は反応の出ている兪穴と肩関節の圧痛点に置鍼。
2回目以降は経筋治療で、経筋穴の置鍼と局所の単刺のみ。
考察
五十肩という疾患名はなく正式には「肩関節周囲炎」という。
五十肩が内臓に原因がある、と言うとびっくりされるが、
全く関係ない、とは考えないのが東洋医学なのである。
この患者の場合は、脾の弱りが表裏関係で表にあたる陽明経に出た。
もちろん、経筋治療では陽明経筋の圧痛点に鍼をする。治療は1回で終了した。
自身の健康管理に余念がない方で、肩関節に痛みが出たと言って年に1回くらい顔を見せる。
他は特に悪いところはない、と本人が言うので、2回目以降は経筋治療になった。