
アトピー性皮膚炎の治療において、長い間ステロイドで対処してきた場合、 ステロイドの使用を中止したとき(脱ステロイド:以下脱ステ)にリバウンドが必ず起こるかというと、必ずしも起こるわけではない、と私は考えています。
リバウンドが起こる人もいれば、起こらない人もいます。
なぜ脱ステしたときに、リバウンドが起こったり起こらなかったりするのでしょうか。
リバウンドが起こるか、起こらないを決めるもの
アトピー性皮膚炎で脱ステをしたとき、リバウンドが起こるか起こらないかを決めるのは、ステロイドを使用してきた期間(薬歴)も関係してきますが、最も大きな要因は脱ステを行うタイミングと、その人が持つエネルギーの総体量です。
脱ステをするタイミングがよければ、ステロイドを一気に中止してもリバウンドは起こらないし、起こったとしても短期間で、もしくは軽くて済みます。
タイミングが悪ければ、酷いリバウンドが起こりますし、軽くてもダラダラと長期にわたって続き、なかなか治らない状態になります。
リバウンドが起こる人と、起こらない人の違いは、脱ステをした後、アトピーそのものがすぐにキレイになる人と、脱ステしたのになかなかよくならない人にも当てはまります。
リバウンドをせずに脱ステするタイミング
脱ステしてもリバウンドしないタイミングが何で決まるかというと、エネルギーの総体量で決まります。
計算式で表すとこんな感じです。
L-(I+C)< E
この計算式は、日常生活で使うエネルギー(L) から炎症を静めるエネルギー(I)と壊れた細胞を捨て新しい細胞を作るエネルギー(C)を引いても、エネルギーの総体量が余っている状態を示しています。
Energy = エネルギーの総体量
Life = 日常生活で使うエネルギー
Inflammation = 炎症を静めるエネルギー
Cell = 壊れた細胞を捨て、新しい細胞を作るエネルギー
簡単に言うと「元気」「疲れていない」「気力がある」状態であることが、脱ステをしてもリバウンドを起こさない鍵になります。
アトピーのために炎症がある、ということは、日常生活で使われるエネルギーだけでなく、炎症と戦い、炎症を静め、新しく健康な皮膚を作るために膨大なエネルギーが必要になります。
炎症を静め、壊れた細胞を捨てて新しい細胞を作ることにエネルギーを注いでも、日常生活で使われるエネルギー量が余り、尚且つ、自分自身が持っている総体的なエネルギー量がそれを上回っているかどうか。残っているかどうか。
エネルギーの総体量は生まれ持った性質などの影響もありますが、 近年は後天的なもの、成長発達の過程や、日々の食事、住環境、運動など生活習慣など、私たちの身体に入ってくるものと、その体に影響する外部環境によって大きく変動します。
1日の終わりに疲れを感じることがあってもグッスリ寝て起きたら、回復していて、また新しい1日を元気に始めることができる。
そんな状態なら、たとえアトピーの炎症が起こったとしても容易に改善しますし、脱ステを行ってもリバウンドはほとんど起こらず、もしリバウンドが起こったとしても軽く済むか、もしくは短期間で終わります。
逆にいつも「疲れている」状態で、朝は起き辛い、夜も寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めるような慢性的な睡眠不足で、朝起きた瞬間から「しんどい」状態なら、アトピーはなかなかよくならないし、当然、そんなときに脱ステを行うと激しいリバウンドが起こることになり、またリバウンド状態もダラダラと長く続く傾向があります。
脱ステをしても、していなくても、大抵の場合、身体の中でやらなくてはいけない仕事(代謝しなければいけないもの)があるときに、修復や再生、排泄といった仕事のために使われるエネルギーが足りず、自分が持っている総体的なエネルギー量が足りないときに、アトピーは酷くなるのです。
つまり、リバウンドをしないように脱ステを行うタイミングとは、アトピーをよくするために必要なエネルギーの総体量が十分にあるときです。

エネルギーの総体量を増やすために注意すべき4つのこと。
脱ステを行うにあたって、先ずはエネルギーの総体量を増やす必要がある場合が多いです。
そしてエネルギーの総体量を増やすためには、食事・運動・睡眠・マインドの4つに注意する必要があります。
食事は、いかに消化吸収に負担をかけず(=エネルギーを使わずに効率よく栄養を吸収できるもの)、細胞を新しく作る材料をうまく摂るかが大切です。
運動は疲労困憊しない程度に、自分が楽しんで毎日続けられるものを選びましょう。
呼吸が活発になり血液循環量が増えることで、酸素をミトコンドリアに届け、エネルギー(ATP)を作ってくれます。
そして傷ついた細胞を修復し、炎症を静めるホルモンを分泌するのは、睡眠中。
身体を横にしないと赤血球などの血液成分が作られる量も減るため、睡眠をとるときは必ず身体を横たえて寝ましょう。
寝ている間に「掻かないため」に座って寝る人がおられますが、傷ついた皮膚を修復するためにもエネルギーを回復するためにも、あまり良い方法とは言えません。
また、体を起こしているときと、身体を横にして寝ているときでは全身をめぐる血流量が全然違います。
人は「動物」で動く生き物ですから、日中は身体を起こして活動するのが正常で、日中もゴロゴロと横たわっている状態はむしろ身体にとって負担になります。
どんなに身体がしんどくても、日中はせめて座位を保つように心がけましょう。
日中の活動は睡眠の質にも直結しますから、動ける人は積極的に動くようにしましょう。

マインドについては、アトピー性皮膚炎は副腎疲労という側面があるため、精神状態がおかしくなって当たり前という部分があります。
不安感が強い・イライラする・待てない・切れやすい等のアトピー特有のマインドの傾向は、その人の本来の性質や性格ではなく、アトピーという状態が引き起こしているものですから、あまり自分を責めないようにしましょう。
不調があるときは誰でも機嫌が悪くなるものですし、ネガティブになって当たり前です。
無理に前向きになる必要もありません。
ただその感情が通り過ぎていくのを淡々とやり過ごす、くらいの心持ちでいましょう。
あらゆる方法で無駄なエネルギーをセーブする。
新しい細胞を作るための材料(食事)が必要だし、エネルギーを作って巡らせるために運動も大事だし、炎症と戦うために消耗したエネルギーを回復するために睡眠も大事だし、マインドを平静に保つためにストレス・マネジメントが必要ということ。
それだけ、アトピーという病態と戦うためには、リバウンドを起こさないように脱ステするためには、平常よりも多くのエネルギーが必要とされる、ということを覚えておいてください。
日常生活で使われるエネルギー、トイレに行くのも、ご飯を食べるのも、歯を磨くのも、掃除をするのにも、すべてエネルギーが使われます。
仕事や家事、育児、介護も加われば、さらにエネルギーを使います。
この日常の中で使われるエネルギーをいかにセーブできるか、ということが、ポイントの一つです。
エネルギーを作るためには一定量の活動と運動が必要ですから、動くな、寝てろ、という意味ではありません。
のんびりしたくても家事や育児のためにそうはできない、というご事情の方もおられるでしょう。
仕事は止めたくない、生活のためにも仕事はしないといけない場合もあるでしょう。
どうぞ1日の自分のライフスタイルを振り返って、エネルギーの消耗を最小限に抑え、余ったエネルギーをアトピーをよくするために使えるようセーブする行動や環境作りを考えてみてください。
無駄なエネルギーにはMINDも含まれます。
世の中には「エネルギー泥棒」と呼ばれる種類の人が存在し、一緒にいるだけで疲れることがありますし、大勢の人が集まる所へ行くと、その熱気だけで疲れを感じることもあります。
そうしたお付き合い、状況を避ける、ということも、無駄なエネルギーの消耗を避けることに繋がります。
また、アトピーの人は白か!黒か!という思考になりやすい傾向があるため、「無駄なエネルギーの消耗をセーブする」とお伝えすると、1日中寝ていたり、人と接するとストレスになるから、と言って1日中、家に引きこもっていたりします。
そうではなく、無理に誰かと会ってストレスを抱えるくらいなら会わなくても良いのですが、朝起きて、日中はそれなりに活動し(外出したくなければ家の中で過ごしても良いのです)、夜になったら寝る、というリズムのある普通の生活をして欲しいのです。
シンプル・イズ・ベスト
こうやって書くと、難しいと感じてしまう人が人がいるかもしれません。
一方であれもこれもと、がんばりすぎてしまう人もおられるでしょう。
アトピーをよくするために、脱ステをしてもリバウンドを避けるために大切なことは、本当にシンプルです。
エネルギーを作ること。
無駄なことにエネルギーを消耗しないように気を付けて、作ったエネルギーをめぐらせること。
たったこれだけです。
言葉を変えると、アトピーを治す力は既にあなたの中にあり、その力をうまく引き出し、使えば、アトピーはよくなる、ということでもあります。
ぜひ存分に、あなたが本来持っている力を活用してあげてください。

もし、ご自身がどうしたらいいのか分からない、と感じているようでしたら、お気軽にご相談くださいね。
【アトピーをよくするための10の基本事項】
⑨シーソーが揺れ動くのを楽しんでしまうくらいの気持ち(マインド)
鍼灸治療は、心と体の調和を目指します。
定期的に受けることで、心身の健康を保つために役立ちます。
心と身体が丈夫になり、
柔軟性が向上し、免疫力が高まってきます。
自信が持てるようになり、
リラックス、ストレス軽減効果があります。

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