アトピーや炎症を静めるために使われるコルチゾールという副腎皮質ホルモン(ステロイド・ホルモン)は、身体を維持するため、生きのびるために重要な働きをしているホルモンである、ということをステロイドとは何なのか?①でお伝えしました。

 

これから①恒常性(ホメオスタシス)の維持、②抗ストレス、③免疫の3つの側面から、このコルチゾールというステロイド・ホルモンが、身体にとってどんな役割を果たしているか、お伝えしていきたいと思います。

こうしたことを知って理解しておくとよい理由は、増悪と緩解を繰り返すことを主症状とするアトピー性皮膚炎を改善していく過程において、一体何が自分の身体で起こっているのか知っていると、不安や恐れ、迷いが軽減することと、そのときの炎症や身体の状態に応じてアトピーをよくしていくために適切なセルフケアを選択できるからです。

 

では、恒常性の維持について。

 

「自然治癒力」「免疫力」といったものが働くためには、人という生体が持つ「恒常性(ホメオスタシス)」の働きが必要になります。

「恒常性」というのは、寒いとか暑いとか外部環境の変化に関係なく、生体の状態が一定に保たれることを指し、恒常性をコントロールしているのは、自律神経系・内分泌系・免疫系の3つのシステムです。

 

暑さ・寒さだけでなく、食事をして血糖値が乱降下するときも、身体を動かしたりして血圧が変わるときにも、出血したり体液を損失したりしたときにも、コルチゾールは恒常性を保つために関与していて、生きのびるために何がしかのストレスに対処するためエネルギーを確保して恒常性の維持に貢献します。

 

アトピーの炎症におけるコルチゾールの関与は、以下のような感じです。

 

ストレス

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アドレナリン分泌

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血中に糖が増える:インシュリン分泌

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☆低血糖を防ぐためにコルチゾール分泌

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ストレスが持続すると、糖が不足してくる

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タンパク質・脂肪を分解してエネルギーを作る

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★このとき身体の中に多価不飽和脂肪酸が多ければ、血中に放たれる多価不飽和脂肪酸のために炎症が起きる

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ストレス(以下、繰り返す)

 

☆のときは「エネルギーの確保」が最優先事項であるため、身体を防御する免疫は抑制され、炎症は一旦静まります。

どういうことかというと、このときの身体はストレスに対処するための戦闘モードになっていて、交感神経は優位になりピーンと気が張ったような緊張状態になっています。頭の回転は速くなり、集中力も高まっています。

戦闘モードの間、免疫系の働きは抑制され、外側から入ってきた外敵(細菌やウィルスなどの異物)を排除する作業は休止モードになるため、炎症という形の異物を認識して排除する作業が行われなくなるのです。

 

そこでストレスが持続するとエネルギーを作る材料となる糖が不足し始め、エネルギーを作るために皮膚や骨のコラーゲンからタンパク質を抜き取るようになります。

★では、炎症を静めるためのコルチゾールが、炎症を引き起す環境を作り出すために使われてしまっていることになります。

また炎症と戦うエネルギーも足りなければ、皮膚の材料になるたんぱく質も引き抜かれて足りなくなってきます。

そして増悪と緩解を繰り返す、アトピーの負のスパイラルへ突入です。

これが「なぜステロイドでアトピーや炎症性疾患が治らないのか?」という問いの答えです。

「恒常性」が保たれるためには、状態が一方に偏れば、もう一方に戻す作用が必要になります。(負のフィードバック作用)

自律神経の交感神経と副交感神経、内分泌系の長期・短期的な亢進と抑制、免疫系の外敵の認識と排除、異化と同化、これらは車輪の両輪です。

片方が回らなければ、車は倒れてしまいます。もしくは走りません。

人の身体も同じです。

陰があり、陽があって、この世のすべては成り立っています。

コルチゾールも生きのびるために、恒常性を保つために、両輪を動かします。

 

鍼灸治療では、緊張していれば弛緩させ、弛緩していれば充実させて、恒常性を保つための車輪が両方とも動くように働きかけます。

ぜひ当院の鍼灸治療をお試しください。

 

 

 

 

 

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