鍼灸は肩こり・腰痛に効く、ぐらいの認識の方が多いようですが、
実は鍼灸の適応症は実に多様でさまざまです。
そこで当院で鍼療する機会のあった症例の中からいくつかご紹介します。
尚、ここでご紹介する症例の内容はすべて、
当院で実際に鍼療を行った内容であることを、ここに明記しておきます。
突発性難聴
主訴
突発性難聴(左)
患者
女性 61歳
経過
平成23年9月初診
7日前から耳の閉塞感と、セミの鳴き声のような耳鳴りが始まった。
その前まで娘が孫を連れて帰省していたので疲れが出たのかもしれない、とのこと。
入眠剤を飲んで寝ている。イライラする。
2年前にも一度罹患しているが、そのときも鍼灸で治ったのが来院理由。
既往症
40年前に大腿骨骨折。
2年前に突発性難聴(左)
治療
1回目は肝虚証として治療したが変化がないので考え直し、2回目以降は腎虚証として治療。
主治穴は、奇経・陰きょう脈の照海と陽維脈の外関。左の翳風と聴会にも置鍼。
背部は風池と、反応の出ている兪穴に置鍼。
考察
一度鍼灸治療で病気が治った経験をすると、何かあった時の治療の選択肢に「鍼灸」が組み込まれる。
突発性難聴などは、そのきっかけになることが多い。
原因不明の難病だからである。
病院での治療はステロイドの含まれた点滴など、免疫力を下げる治療が主になる。
この患者の場合は、病院での治療と並行して通ってこられた。
3回目の治療で耳の閉塞感が減り、薬がなくても眠れるようになり、耳鳴りの音も小さくなった。
4回で治療を終了した。