鍼灸は肩こり・腰痛に効く、ぐらいの認識の方が多いようですが、
実は鍼灸の適応症は実に多様でさまざまです。
そこで当院で鍼療する機会のあった症例の中からいくつかご紹介します。
尚、ここでご紹介する症例の内容はすべて、
当院で実際に鍼療を行った内容であることを、ここに明記しておきます。
更年期障害
主訴
更年期障害によるホットフラッシュ、耳の閉塞感、頭痛。
患者
女性 51歳
経過
平成24年3月初診。
48歳の頃から時折、動悸がひどくなるときがある。
この1・2か月のぼせがひどく、めまいがする時があり、たまらず来院。
既往症
30代の頃に胃潰瘍。
片頭痛。冷え症。
病院で橋本病の傾向があると言われているが、数値は問題ない。
治療
腎虚証として治療する。
主治穴は奇経・陰きょう脈の照海、陽維脈の外関、三陰交など。
背部は反応の出ている兪穴に置鍼。至室に温灸。
考察
更年期障害特有の症状、動悸やホットフラッシュ、のどや耳の閉塞感が出たり、
肩こり頭痛がひどくなる症状を、東洋医学では「奔豚気」と言う。
豚が走り回るようなざわざわとした感じで、不安感を伴うことが多い。
この方の場合は週に1回ペースで来院し、3回目に来院された時にはのぼせもだいぶマシになり、
耳の閉塞感はなくなったと仰っていた。
その他の症状もほとんどなくなり、5回で治療は終了。
