アトピー性皮膚炎は、その炎症のステージによってスキンケアが異なる、と私は考えています。
あくまでも「お薬に頼らない」場合のスキンケアです。
軟膏など油分を多く含んだ保湿が合うときと、そうでないときがあります。
成分のほとんどが「水」の化粧水やローション(大抵の化粧水やローションはその成分の98%が「水」です)だけで良いときと、そうでないときがあります。
春夏のスキンケアがあり、秋冬のスキンケアがあります。
何をしてもダメなときもあります。
かと思えば、皮膚の土壌さえ整ってくれば、何をしてもよくなったりもします。
どんな時に何を使えばいいのか知っておくと、お薬に頼ることなく、冷静に、アトピーという病態をやり過ごすことができます。
皮膚にはターンサイクルがあり、アトピーの病態が改善するために必要な時間というものがあるからです。
その病態を一定期間やり過ごすことができれば、薬を使う必要もなく、また依存することもなく、またそのことを心配したり不安になることもありません。
軟膏が合わないとき。
軟膏など油分を多く含んだものの保湿が合わないときは、皮膚の状態が以下のようなときです。
・ジュクジュクとした浸出液が多い
・水泡ができている
・皮膚が熱を持っている
・掻き壊して傷だらけ(出血有り)
・表皮がない状態
・表面はきれいでも皮膚の下に熱がこもった感じがある
このようなときに軟膏や油分の多い何かを皮膚につけると、かえって痒みが発生したり、症状が悪化することがあります。
そんなときは皮膚の清潔を保ちながら、「何もしない」方が痒みに悩まされずに済むかもしれません。
この場合の「清潔を保つ」の意味は、1日に何度も洗ったり、アルコールで消毒するという意味ではありませんのでご注意ください。
表皮がない状態のときは、皮膚を保護するという目的で、ワセリンなど油分の塊のような軟膏が適している場合もあります。
季節で言うと、春や夏は軟膏や油分を多く含んだ保湿は向きません。
軟膏が合うとき。
軟膏など油分の多いものの保湿が合うときは、皮膚の状態が以下のようなときです。
・粉を吹いてカサカサしている
・皮膚表面が白く乾燥している
・皮膚が冷たい(熱を持っていない)
・皮膚がガサガサごわごわとしている
・皮膚がザラザラして固い
このようなときは、適切な保湿を行うことでアトピーの症状が改善します。
季節で言うなら、秋や冬に適しています。
アトピーのスキンケアで大切なこと
アトピー性皮膚炎という病態は、よくなったり悪くなったりを繰り返します。
実際は「日によって違う」ことが多々あるでしょう。
皮膚の部位によってスキンケアを変える必要がある場合もあります。
そのため、その時々の皮膚の状態に応じて、スキンケアを変えていく柔軟な姿勢が大切です。
「よく効いた」と感じたスキンケアが、いつ、どんな環境で、皮膚がどんな状態のときに行った、どんなスキンケアだったのか、覚えておきましょう。
アトピーのスキンケアでは、昨日よかったスキンケアが今日はダメ、ということが往々にしてあります。
そんなとき、1つのものに拘らず、自分の中にいくつもスキンケアのレシピがあると安心です。
誰かにとって良かったスキンケアのレシピが、必ずしも自分に合うとは限らないからです。
販売されているものが肌に合わないときは、「自分で作る」という選択肢があってもいいかもしれません。
またスキンケアは、なにも皮膚に何かを塗ることだけがスキンケアではありません。
お風呂の入り方、清潔の保ち方、肌に触れるものに何を選ぶか、どんな環境で生活するか、そんなことも頭に留めておくと良いでしょう。
薬を使うことも含めて、無理をせず、柔軟に対応していく。
自分が「心地よい」と感じられるものを選ぶ。
自分がこうありたいと思う姿が、脱ステや脱保湿の先にあるなら、ときには少しがんばってみる。
沙羅鍼灸院は、そんなあなたに寄り添う存在でありたいと思っています。
どうぞお気軽にご相談ください。
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