キレイキレイし過ぎていませんか？
感染症対策のため、どこへ行っても過剰なまでに手洗い・消毒が求められる世の中になりました。
同時に過剰な手洗い・消毒のために手荒れ・肌荒れが酷くなり、皮膚科を受診する人が増えています。
過度な除菌や清潔志向がお肌の常在菌バランスを崩し、治らない肌荒れ・アトピーの原因になっていることがあるからです。
皮膚という防御壁を守る細菌たち
人の体を覆う皮膚は、成人で面積が約 1.6m2（畳一畳分）、その重量は体重の約 16％を占める人体で最大の臓器です。
皮膚は、外部環境と直に接しているため、外部の刺激や感染から人の体を守る最大の防御壁。
その皮膚の角質層や毛穴には、腸に次いで多くの細菌たちが棲んでおり、およそ 1000 種の菌種が存在し、その細菌バランスによって皮膚という人体の防御壁を強固なものに保っています。
腸と同様、健康な皮膚を保つためには、善玉菌（表皮ブドウ球菌など）・日和見菌・悪玉菌（黄色ブドウ球菌など）のバランスと、多様性が大切と言われており、これら常在細菌のバランスが壊れたときに皮膚のトラブルになることがあります。
また菌たちが生育する肌の環境も重要で、適度な湿度と温度が皮膚の常在菌たちを元気にしてくれます。
お肌を保護する天然の保湿クリーム
皮膚の常在菌たちを守るため、適度な湿度と温度を保つために、皮膚の最上部の表皮は天然の保湿クリームで覆われています。
皮膚の天然の保湿クリームの主な材料は、汗と垢と皮脂。
この3つ材料が、皮膚の常在菌たちのサポートを受けて皮膚のバリアとなり、艶のある健康な皮膚を守っています。
表皮ブドウ球菌は汗（アルカリ性）や皮脂を餌にして、皮膚のバリア機能を保つグリセリンや、お肌を弱酸性に保つ脂肪酸を作り出します。
また脂肪酸は、抗菌ペプチドを作ることによって悪玉菌である黄色ブドウ球菌の増殖を抑制します。
皮膚の常在菌たちと、汗と垢と皮脂の共同作業によって作り出される天然の保湿クリームは、自分で作り出すことができるのです。
ところが現代の日本人の多くは、「汗をあまりかかない」「過剰な洗浄・消毒」「保湿過多」によって、この天然の保湿クリームを作り出せなくなっている人が多く見られます。
お肌の健康を保つためにするべきこと
お肌の健康を保つためには、皮膚の常在菌バランスを壊さないこと、多様性（いろんな菌に触れること）を保つことに加えて、適度に汗をかいて皮脂を分泌し、垢を洗い流し過ぎないようにすることが大切になります。
具体的に言うと
・長時間にわたって熱すぎる湯で入浴しない
・毎日お風呂に入らなくても良い
・手洗い、洗顔をし過ぎない
・洗顔料・洗浄料の過剰な使用は控える
・過剰な消毒はしない
・毎日なんらかの方法で汗をかく
などです。
除菌・抗菌グッズは元より、感染症対策のために過剰にまでに消毒が求められる昨今ですが、自分の身を守ることができるのは自分でしかありません。
その手洗い・消毒は、本当に必要ですか？
誰かのための消毒が、自分の身を守る防御壁を壊し、自分が感染しやすくなる土壌を作っているとしたら、それは本末転倒ではないでしょうか？
ぜひ一度、考えてみてくださいね。
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