
アトピー性皮膚炎をよくするために、最も大切なことは何だと思いますか?
いろいろな情報と価値観がある現代社会において、私は「主体的である」ことだと考えています。
どんなに腕の良い医師や療法家であっても、患者自身の協力がなければアトピーをよくすることができないからです。
どんなにエビデンスがあっても、最新医学であっても、「100%正しい治療」というものは存在しないからです。
100人の内99人に効果があった治療であっても、自分に効果がなければ意味がないからです。
アトピーに、その治療に、その体験にどんな意味と価値を与えるかは、他の誰でもなく、あなただからです。
主体的とはどういうことか?
デジタル大辞泉によると、主体的・主体性とは「自分の意志・判断で行動しようとする態度」のこと、と書かれています。
主体的であることで、どんなシチュエーションであっても、どんな結果が得られても、自由でいることができます。
この自由とは、環境や周囲からの刺激・影響に対して、自らの感情や行動を選択する自由のことです。
そうです、主体的であるならば、怒っても泣いてもいいのです。
そのために周囲に当たり散らすのも、泣きわめくのも、鬱々と引きこもるのも自由です。
あなたがそうしたければ。

主体的であることで得られるものと、その代償
主体的である、ということは、状況を変える出発点が常に自分自身にあるということでもあります。
つまり自分の行動だけでなく、感情すらも自分の責任で引き受けるということです。
「自責」「他責」という表現がありますが、「自責」はこの「主体的である」ことを意味し、「他責」はその逆で「人や環境のせいにする」ことを意味します。
主体的でいるためには、人や環境のせいにできません。
アトピーがよくならないことを、薬や医者のせいにすることもできません。
自分が口にするもの、使うもの、環境や生活スタイルも、知っていることも知らないことも全て自分で責任を負います。
例えば、アトピーをよくしたいと思い、ある治療を選択したとき、とんでもなく辛い症状と、コントロールし難い心と体の状態を経験することがあります。
一時的によくなったとしても、後々になって思いもよらぬ副作用や不調に悩まされることもあるかもしれません。
(必ずしもそんな経験をする訳ではありませんが)
そうした自分が願っていない経験も引き受ける覚悟が必要になります。
その代わり、例えどんな状況になったとしても、自分が理想とする環境でなくても、主体的であることで自分で自分の人生の舵をとっている感覚(自由な感覚)を失わずに済みます。
人としての誇り、自己価値、自己肯定感を持ち続けることができます。
籠の中から自由になった鳥には、飢えや危険と出会うリスクを負わなければなりませんが、自由に空を飛ぶことができます。

主体的であるために
主体的であるための、はじめの一歩は、自分自身について知ることだと私は考えています。
自分が思っている自分の印象と、人から聞く自分の印象が随分違っていた、という経験をしたことはありませんか?
もしいろんな人から自分自身の印象を聞いてみたことがなかったら、ぜひ勇気を出して試してみてください。
もちろん、誰もがポジティブな答えを言ってくれるとは限りませんが、いろんな人に聞くことで、いろんな捉え方があることを知ることができるでしょう。
自分が思っているほど、自分自身のことを知らない、ということに気付くことこそ、主体的であるための第一歩ではないでしょうか?
自分の経験を語ってみる
そしてもう一つお薦めしたいのが、「自分の経験を語る」ということです。
否定をされたり、相手が正しいと思っていることを指導されるのは誰でも辛いでしょうから、「否定をしない」「指導しない」人に語る、というのがポイントです。
患者同士が語る場を提供しているNPOもあります。
話すより書く方が楽な人はブログやSNSで語っても構いません。
その場合は、否定や指導に備えてコメント欄をクローズにしておくと安心です。
(もちろん、反応を知りたい、同じような仲間と繋がりたいという人はオープンにしても構いません)
誰かに語ることで、そして誰かの語りを聴くことで、自分の感情や思い込みに気付いたり、意外な自分の側面を知ることができます。
そして、それこそが「主体的である」ということなのです。
3月29日には日本心身医学会近畿地方会のシンポジ
医療従事者や学生さん方が対象となります。
一般の方で参加されたい方は、どうぞ私の方までお問い合わせください。

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なぜステロイドでは治らないのか【ステロイドとは何なのか?②】
【アトピーをよくするための10の基本事項】