アトピーに限らず、いろんな病気と関りが深い自律神経

鍼灸治療は自律神経のバランスを整える効果ありますが、鍼灸がどのように身体に作用して、自律神経のバランスを整えるのか、本当に理解して鍼灸を受けるとより効果を実感していただけます。

 

自律神経には交感神経副交感神経があり、メトロノームやシーソーのようにバランスをとりながら、多くは内臓器官の働きをコントロールしています。

心臓、肺、胃腸、肝臓、膀胱、唾液腺、内分泌腺、汗腺、瞳孔、血管などの働きに、アクセルをかけたりブレーキをかけたりするのが自律神経の役割です。

また私たちが「今から胃を動かそう」と思っても、自分の意思で自由にコントロールできないのが自律神経の特徴になります。

 

戦闘モードが交感神経で、休息モードになるのが副交感神経。

たとえば、朝から仕事でプレゼンがあったとすると、自律神経は交感神経が優位の戦闘モードになり、目は開き、脳は興奮して心拍数は早くなります。

呼吸も早く浅くなり、食事をしている暇はないので胃腸の活動は抑制され、膀胱は弛緩して尿を溜めます。

プレゼンが終わって仕事から帰宅すると、自律神経は副交感神経が優位の休息モードになり、脳は落ち着きを取り戻し、心拍数も落ち着いてきます。

呼吸もゆったりと深くなり、お腹もすいてくるので胃腸の活動は活発になって消化吸収を促進、膀胱は収縮して尿を出します。

 

交感神経が優位になると血管が部分的に収縮して体温は下がり、顆粒球が増えて菌に強くなります。

これが過ぎるとアドレナリン分泌過剰になって顆粒球が増え、活性酸素が増加して痛みや変形が生じます。

副交感神経が優位になると血管は拡張して体温は上がり、リンパ球が増えてウィルスに強くなります。

これが過ぎるとアセチルコリン分泌過剰でリンパ球が増え、アトピーやアレルギー疾患、自己免疫疾患になりやすくなります。

 

自律神経とストレスの関りについて問題にされることが多い理由は、交感神経優位が続くと交感神経が支配している副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモン(アドレナリンやコルチゾール)の分泌に異常をきたしてくるためです。

これらの副腎皮質ホルモンには、血糖値上昇、血圧上昇、免疫抑制、胃酸分泌促進、覚醒など、さまざまな生体の防御機構を活性化して身体を守る働きがありますが、交感神経が優位になり続けると身体は疲れ果て、さまざまな不調や病気の原因になります。

 

また現代人の多くは極度な運動不足によって副交感神経が優位になっているため、血液の流れが滞りやすく、冷えやむくみの他、花粉症などのアレルギーの原因になっています。

 

交感神経が優位になって血管が収縮し、血液が身体の隅々までまでいきわたらなくても、副交感神経が優位になって血管が拡張し、血液の流れに滞りが生じても、循環障害が出てきてしまいます。

循環障害は、身体の一部で熱を持ったり冷えを形成したりして炎症やガンなどの原因になりますが、全体像を眺めてみると身体は低体温状態になります。

 

現代人の多くは交感神経優位でいろいろな病気になっているから、上手く休息をとってリラックスして副交感神経優位にするべきだ、という話をよく見聞きしますが、だからと言って、休みの日は1日中家でゴロゴロして寝て過ごす、というようなライフスタイルでは、かえって副交感神経優位の病気の懸念が生じてきます。

ゆったりと動くシーソーのようにバランスを保っていることが自律神経のバランスを保つためには大切ですから、戦闘モードと休息モード、ONとOFFの差が激しくなりすぎないような工夫を考えましょう。

最も重要なのは、食事や睡眠など、基本的な生活リズムを整えることです。

その上で、座っている時間が長いと感じたら散歩に出かける、活動してばかりで疲れを感じたら休む、頭を使い過ぎていると感じたら身体を動かす、寝すぎたと感じたら運動をする、そんな風に自分の感覚を大切にして行動を選択していると、自律神経のバランスが崩れることはありません。

 

鍼灸治療では交感神経に偏り過ぎたり、副交感神経に偏り過ぎた結果、現れるさまざまな不調に対して、血管の収縮・拡張に働きかける鍼をすることで自律神経のバランスを整えていきます。

自律神経のバランスがとれていないように感じられるときは、どうぞ鍼灸治療を受けてくださいね。

 

 

 

 

Follow me!