秋の土用シーズンに入りました。

2019年は栗東前の18日間、10月21日~11月7日が秋の土用です。

暦の上で次の季節に入る前の準備期間にあたるのが土用で、秋の土用の時期は、夏に溜まった疲れが表面化しやすい時期であり、冬の訪れに備えて滋養が必要な時期でもあります。

また空気の乾燥が強くなるにつれ、アトピーの方をはじめ、お肌の乾燥が気になりだす頃でもあります。

そのため毎年この季節になるとアトピーのスキンケアについて、特に保湿をするべきか否かというご相談をよく受けます。

今日はそんな保湿について考えてみましょう。

 

その保湿は必要か?

皮膚科へ行っても、エステや百貨店の化粧品コーナーへ行っても、スキンケアの基本は「保湿」と言われます。

ところがアトピーの治療法をいろいろ調べてみると、「脱ステ」というワードの次に「脱保湿」というワードが上がってきます。

一体どちらが正しいのか、悩んだことはありませんか?

 

実はその答えは、ある意味においては「どちらも正しい」のです。

お肌の状態、アトピーのステージ、その人の視点によって、どれもが正しく、間違っている。

その人が目指しているもの(目的)によって、その「正しい」が変わってくるのです。

 

例えば、普段ほとんど肌トラブルがない人にとっては、ほんの少しお肌がカサカサするだけでも「保湿が必要」になります。

一方で長年アトピーで悩んでいて、脱ステロイドをして脱保湿をして、カサカサしているけど痒みはないし、ちゃんと自分で保湿できる皮膚を育てたい、と思っている人にとっては、「保湿は不要」になります。

自分が許容できるお肌の状態、自分が求めているお肌の状態も一人一人異なります。

もちろん、誰がという訳ではなく、この皮膚の状態ならこの「保湿」というように、皮膚の状態によって、保湿のやり方や保湿剤を変えることで、自分が得たいお肌の状態を得ることができる場合もあります。

 

あなたにとって、その「保湿」は必要ですか?

あなたに必要な「保湿」は、どんなものがありますか?

 

なぜ保湿するの?

人の体の表面全体を覆って体を保護する、というのが、本来の皮膚の役割(仕事)です。

皮膚は外から入ってくるさまざまな刺激に対するセンサーを備えていて、外からの刺激に対して体を保護しています。

 

そもそも保湿が必要なお肌の状態とは、どんな状態でしょうか?

皮膚表面の状態を観察していくと、表皮を覆っているはずの天然保湿クリームの存在は感じられず、表皮が壊れて、かさかさゴワゴワしています。

「水分を保持できない=水分がない」ため、水を媒体にして行われる神経伝達(電気的な信号)がスムーズに伝わらないところでは、痒みが発生することがあります。

これが皮膚の乾燥による、痒みの発生のメカニズムです。

ですから皮膚の乾燥による痒みを防ぐためには、今ある水分を保持すること、知らず知らずの内に失われている水分の蒸発を防ぐことがポイントになってくるでしょう。

このことから皮膚科や化粧品売り場で推奨されているスキンケアの基本である「保湿」は、乾燥によって表皮の水分が失われた皮膚で、まだ掻き壊されていない、皮膚の修復や、皮膚のターンサイクルを正常に戻すことをサポートすることが目的ということが分かります。

一方でアトピー性皮膚炎でよく見られるように、さらに乾燥が酷くなり保護力が弱まった皮膚を掻き壊してしまうと、傷ができて炎症が広がり、傷口から浸出液が出てくるような皮膚の状態もあります。

痒みの程度は、乾燥によって引き起こされる皮膚の痒みとは比べものにならないくらい酷い場合が多いです。

皮膚がむきだしになっているような皮膚には、細菌やウィルスなど外敵の侵入を防ぐ皮膚の保護機能が十分に働いていません。

細菌の増殖を防げなければ、細菌による炎症が広がることもあります。

炎症が起これば、血液やリンパの量やバランス、循環にも生理的な変化が現れ、さらに皮膚が腫れたり、痒みが酷くなる悪循環にハマり込みます。

皮膚がむき出しで外からの刺激をどうしても防ぎきれないときに、ワセリンのような鉱物ベースの分子の大きい保湿剤なら、外からの刺激から皮膚を保護し、細菌やウィルスの侵入や増殖を防ぐことができるでしょう。

ワセリンが炎症を治すわけではありませんが、むき出しの皮膚を保護し、そのために起こる炎症を防ぐことは可能です。

皮膚が保護されている間に新しく健康な皮膚が現れてくれば、ワセリンという仮の保護膜は必要なくなってきます。

 

そういう風に考えていくと、何のための保湿なのか?という疑問には、充分に注意して、保湿剤を選ぶことが肝要になってくると思います。

細菌や真菌が原因の場合は、抗菌薬が炎症を静めるために効果を発揮するでしょうし、浸出液が止まらない場合は亜鉛化軟膏のような水を吸い、熱を冷ます性質の鉱物の力をうまく利用することで、炎症が静まることもあります。

体の中の老廃物を掃除するために人体最大の排泄器官である皮膚を使っている場合は、まず出し切る、または別のルートで排泄されるようにもっていくことが必要かもしれません。

 

また保湿剤そのものが、皮膚の保湿する力を低下させている場合もあります。

ほとんどのクリーム類、化粧品には、界面活性剤が含まれていて、お肌の乾燥を促進して皮膚の保護力を弱体化させてしまうからです。

誰にでも備わっている力。

人の体には本来、自分の皮膚を自分で保湿する力が備わっています。

自分で保湿する力とは、天然の保湿クリーム自分で作り出し、皮膚表面を覆って保護する力のことです。

天然の保湿クリームの材料は、主に「皮脂」「汗」「垢」の3つ。

この天然の保湿クリームが表皮を覆うようにのっていることで、お肌の細菌バランスや㏗が整って弱酸性の防御壁を作り、外敵の侵入を防ぎます。

この皮膚から分泌される「皮脂」の種類によって、炎症が起こりやすくなったり、起こらなかったりするのですが、その話はまた別の機会に。

 

人の体のメカニズムとして、「その仕事はやらなくてもいいよ」という指令を出され続けると、その仕事をしなくなる、というものがあります。

人の心も同じではありませんか?

「それ、やらなくていいよ」と言われ続けたら、どれだけ自分がやる気でがんばっていても「やーめた!」と、なりませんか?

人の体でも同じことが起こります。

つまり自分で保湿する力は、いつも外から保湿されることで、自分で保湿しようとしなくなる場合がある、ということ。

「脱保湿」という手法には、「保湿され続けることで使わなくなってしまっている力をもう一度使って、人の体に本来備わっている自分で保湿する力をよみがえらせましょう。」という考え方がベースにあります。

つまり、脱ステに「ステロイド依存」という課題があるように、保湿にも「保湿依存」という課題がある、ということ。

本来、自分で自分の皮膚を保湿する力は誰にでも備わっている力ですから、保湿を休むことで、使われていなかった力が自然に再び使われるようになり、お肌が潤いを取り戻して保湿が必要でなくなるのです。

アトピーでなくても現代の日本女性の多くは「保湿依存」に偏り過ぎているため、最近では「肌断食」と言って、保湿をしない日を作る美容法が女性誌などで紹介されるようになってきています。

 

自分にとってストレスのない方法を選ぶ。

冒頭で述べたように、保湿を必要とするかどうかは、何を前提としているのか、何を求めているか、何を目的とするかによって変わってきます。

例えばワセリンひとつとってみても、皮膚を保護することが目的であって、壊れた皮膚細胞が修復されることが目的ではないし、その効果もありませんが、ワセリンをぬることによって「守られている」という安心感を得ることができる、と言う人もいます。

 

その「保湿」の意味をどこに置くのか?

 

なにをもってして「保湿」とするのか?

 

例えば「脱保湿」という手法では、包帯でぐるぐる巻きにすることも、服を着ることも、1日中布団にくるまっていることも「保湿」と見なされる場合があります。

 

なぜ包帯グルグル巻きや服を着ることが保湿になるのか?

なぜ脱保湿が必要なのか?

 

そうしたことを理解してやるのと、訳も分からないままやっているのとでは、心が受けるストレスが違います。

 

 

その保湿を「する・しない」に固執するのではなく、「良い・悪い」と決めつけるのではなく、皮膚の状態や自分が求めている気持ちに応じて、臨機応変に対応することが、心が受けるストレスを減らします。

そうしてストレスが減ることが、結果的にその湿疹やアトピーを改善することに繋がることがあります。

 

ですから、どんなやり方をするにしろ、どんな保湿剤を使うにしろ、「する・しない」にこだわらないこと。

どんなスキンケアをするにしても、自分にとってストレスにならない方法を選ぶことを基準にしてみるのも1つの方法かもしれません。

 

もしあなたが保湿について、皮膚科医や化粧品売り場の店員とは違った視点の誰かの意見が欲しいと思われているなら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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